ITALY
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 ヨーロッパと言えども旅のスタイルは変わらない。ミラノ駅周辺での宿探しから始まった。
駅前のきれいなホテルは当然高い。安そうな宿を求めて歩き回ってるうちに、アラブ人街のようなところに来てしまった。
そこらじゅうの店の看板がアラビックで書かれ、街を夜な夜な徘徊しているのもアラブ系の人達。
そこで英語表記のホテルを発見、レセプションに行ってみると人のよさそうなイタリア人のおっさんとその娘と思われる20代後半ぐらいの女性が出てきた。
バス、トイレは付いてないが部屋はきれいだし、値段も安い。しかも英語が通じる。すぐにチェックイン。
チェックインの際に娘に「明日サンシーロスタジアムにサッカー見に行きたいんだけど、試合何時から?」と聞くと、力の入った声で「午後の3時から。3時よ3時。絶対遅れないでね。」と言う。そんなに力まなくても・・・。
しかし考えてみればサッカーチームのオーナーが首相になってしまうような国だ。それだけ国民の生活にサッカーが欠かせないものになっているのだろう。
荷物を置いて、晩飯を食いに近くのピッツェリアへ。
店の奥に大きなスクリーンがあり、サッカー中継をしていて、客も店員もクギづけになっている。(仕事しろ仕事)
店員に声をかけ、メニューをもらうが店員はサッカーが気になって仕方ない様子。
なんかメニューを見て悩んでるのが悪いような気がしてきたので、定番のマルゲリータを頼んだ。それにしてもこの場末のピッツェリアの雰囲気は最高だ。

 にわかミラニスタとして完全に浮かれてセリエA観戦をした後、水の都ヴェネツィアへ。
ミラノでローマ在住の友人、M氏に電話したら「ローマまで顔出せ。」と言われたが、そんな時間は無いししかもこの時、イタリア全土で大停電が起こって、列車がまともに走らないという状況だったのでそのままヴェネツィアに行ってしまった。

 典型的な観光地にあまり魅力を感じない俺としては、そのままスロベニア国境のトリエステぐらいまで行ってしまいたかったのだが、同行しているK氏がどうしても一泊したいというので、安宿を見つけチェックイン。
フラッと水の都を歩きに出る。
ヴェネツィアはガラス細工が有名。”ヴェネツィアングラス”というやつだ。
「お土産に安いやつでも買ってくか。」と思いながら歩いていると、ガラスでできたチェスを発見。
「おお、かっちょいい!」ということで購入。22ユーロを値切って18ユーロ。まあ、これで18ならいい買い物だ、と満足して店を出て更に歩く。
と、ある店のショウウィンドウにガラスのチェスを発見。
・・・見てしまった。見てはいけないものを。お岩さんに匹敵するぐらい見てはいけないものを。”16ユーロ”
やってもうた。この俺としたことが・・・。
ショックを受けた俺は「もうこれ以上は買わない!」と強く心に近い、K氏の買い物に付き合う形で、しかも背中はちょっと哀愁漂いぎみで、またある店に入る。
 この店は父娘でやってるらしい。
俺はあくまでもK氏に付いて来てるだけだからと思いながら、なにげなく棚に置いてあった、手のひらサイズの青い地球儀のガラス細工を手に取った。
すると、どこからともなく店の主人がやってきた。(まあ、彼の店なので”どこからともなく”ということもないのだが)
「買わねえ、ぜってえ何があっても買わねえ!」と思い、ちょっと身構えた俺に店の主人が話しかけてきた。
「ハロー。お客さんいいとこに目付けたねー。その地球儀色変わるんだよ。」
「その手には乗らんぞ!」と思いつつ「マジで?」と言うと「見せてやる。」と言い、娘にイタリア語で何かを告げる。
すると娘は店の明かりを消し、すみっこにある小さいスタンドを点けた。そしてそこに店の主人が先ほどの青い地球儀をかざす。
するとどうだろう、さっきまで真っ青だった地球儀のガラス細工が紫色に変色しているではないか。どうやら蛍光灯に反応するらしい。
「おお!すげえ!」と思わず口に出してしまったが、俺としては先ほどのチェスの失敗もあるし、何よりもただ単にK氏の買い物に付き合ってるだけだ。ぜってえ買わねえ!!

・・・数分後、地球儀が割れないように厳重に梱包してもらい、満足げに会計してる自分がいた。ヘタレだヘタレ。

 その夜、宿に戻りスロヴェニアの地図を見ながら今後の予定を考えていた。
陸路でスロベニアに入るにはトリエステから首都のリュブリャーナに入るのがどうやら一般的らしい。
しかし、ブレッド湖という景色のいいところに行ってみたい。
地図をよく見るとトリエステまで行かずにイタリア側ゴリツィア、スロベニア側ノヴァゴリカで国境を越えられそうな気がした。確信はなく、あくまで”気がした”のだが。そうすればリュブリャーナを経由しなくてもブレッド湖に入れる。

 ということで、とりあえずゴリツィアに到着。ここまでくると英語なんて全く通じない。
駅の窓口で身振りを交えて「国境を越えたい。」というと、「8番のバスに乗れ。」と言って指差した。
振り返るとちょうどノヴァゴリカと書いたバスが到着した。
二人でダッシュし、バスに乗り込むと運転手が切符を買えと駅を指差す。
またダッシュで駅へ戻る。そして、ブッキングオフィスのおばちゃんに「あのバスの切符を買いたい」と言って指差すが、いまいち通じない。それどころか、そこの壁に貼ってある地図を指差しながらなんか言ってる。
たまたま近くにいた女性に、「どうすればいいんだ?」と聞くと「私もスイス人だからよく分からないのよ。」と言われた。
ふっとバスの方を振り返ると、ドアが閉まり走り去っていく。
気が抜けたので、タクシーで国境を越えることにした。


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